水をくみ終えて、戸口から入ろうとすると
「できれば、医術を教えてもらいたいんだ」
という、エーラの声が聞こえた。
…このままでは、また立ち聞きになりそう
だと思いながらも、私は戸口から中に入って、
「私も教えてもらいたいな」
と、口を開く。
「シオン様、また立ち聞きですか?」
そう言うエーラに、
「わざとじゃない」
と、焦りながら返すと、エーラはため息をつく
「わかりました、いいですよ!」
と、フィアネは笑うと言った。
「役に立ちそうな薬草は、色々教えますね」
フィアネのその言葉に、エーラの表情が
少し明るくなった。
「シオン様は…」
そんなことする必要ない、とでも言われそう
だったので、エーラの言葉を遮っていった。
「私も知りたい。エーラが怪我をした時、私が何も出来ないなんてことにはなりたくない」
その私の言葉で、エーラは言おうとしていた
言葉を飲み込んだ。

