「そうだ、エーラ傷の具合はどうだ?」
私がエーラの肩を見ていうと、
「それが…」
と、エーラは口ごもる。
まさか、化膿してたりするのか?と思い、
「もう一度フィアネに見てもらった方が…」
と言いかけると、エーラは
「いや、悪化したわけじゃないんですが…おかしなことに、もう傷跡すら残ってないんです」
と言う。
私はその言葉に驚く。
昨日まで血が止まらず、傷口がふさがる気配
すら見せていなかったのに…
「フィアネはそこまで腕のいい医術師だったのか」
と、私が言うと、エーラは
「いくら腕が良くても、早すぎでは…」
と、困ったように返す。
「…まぁ、治ったならいいじゃないか」
とエーラに笑いかけると、エーラは確かに…
と、頷く。
「それより、朝食の準備の手伝いをしよう」
と、台所の方に私は歩き出した。
「フィアネ、何かすることはあるか?」
と、フィアネに声をかけると、
「あ、じゃあ井戸で水を組んできてもらえますか?」
と、フィアネが言う。
「わかった」
と返して、台所の戸口から外へ出ると
井戸に向かって歩き出した。

