「す…すまない」
シオン様はそう申し訳なさそうな顔をする。
「仕方ねぇ。都を迂回して、東の祠に向かおう。北の祠は、この国で一番のでかい山脈が遮ってるから後回しだ」
ゼンが適切にこれから行く場所を決める。
それに、私たちは皆頷いた。
「これで、これからの行き先は決まったな」
シオン様が微笑んでそう言う。
「いつ発ちましょうか」
そうエーラがシオン様に聞く。
「もう発てるだろう。何モタモタしてる」
そんなゼンの声を聞いて、私たちがゼンの方を
向くと、ゼンはもう荷物をまとめ、
立ち上がっていた。
「え…もう発つのか?」
とシオン様がキョトンとした様子で聞くと、
「むしろここでまだする事があるのか?」
と、ゼンに聞き返される。
その問に、シオン様は少し考えてから
「特にはないが…ゼン、ほとんどここでゆっくりしてないじゃないか。もう少し居た方が女将も嬉しいんじゃないか?」
と答える。
「それなら心配いらねぇよ。もうあいつはそんなに弱くない」
ゼンはそう言い放つと、
「時間がもったいない。早く行くぞ」
と部屋を出ていってしまった。

