ゼンが出ていってすぐに、また部屋の扉 が開いた。 そして、扉の方からとてもいい匂いが 漂ってくる。 私たち三人がその方向に視線を向けると、 そこには沢山のごちそうを抱えた 女将さんとゼンの姿があった。 「たーんとお食べ」 と、ニコニコしながら女将さんはごちそうを 並べてくれる。 ゼンも、一緒になって無言で手際よく 朝食の準備をしてくれた。 そして、そこから、この旅が始まって以来 一番騒がしい朝食が始まるのだった。