「ゼン」 俺を呼ぶ声が部屋に響く。 その声に振り向くと、麒麟が少しだけ息を 切らしながら、イーリアとドラグとジリーを 引き連れて戻ってきていた。 麒麟以外、まだ三人とも状況を把握していない らしく、こちらが話すのを待っていた。 「…」 随分前に、もう麒麟には、麒麟としてでは なく、ファルダとして生きて欲しいと 思っていた俺は、説明を口に出すのを躊躇った 自分のことを知らない麒麟は、 なぜ自分と、仲間が狙われているのか、理解 できないだろうから。