あっという間に少女は包帯を巻き終わると、
「うん!これで大丈夫よ」
と、微笑んだ。
エーラは、小さく少女に頭を下げた。
「ありがとう、友人の命を助けてくれて」
シオンはそう少女に言う。
「君の名前は?」
「私はフィアネよ」
赤い髪の少女、フィアネはそう答えると言った
「…あなたの名前は、もしかしてシオンではない?」
その言葉で、エーラとシオンは固まる。
私を、知っている?
エーラはガバッと起き上がると、フィアネの
手首を掴んで言う。
「その方に手を出すことは許さない!」
「…ということは、やっぱりシオン様なのね」
フィアネはそう呟くように言うと、微笑んだ。
「その金色の髪に空色の目、一度城下町でお見かけしたので覚えていました」
「…エーラ大丈夫だ、放してやってくれ」
エーラは私が言うと、しぶしぶと放した。
「うん、あなたは寝てた方がいいわ。さっきまで毒が体を回っていたもの」
その言葉に、私は驚いた。
「…毒?」
「えぇ、その方は出来るだけ気丈に振舞ってたみたいですが、あと少し遅ければ死んでいました。」
その言葉を聞いて、私はぞっとする。
私のせいで、エーラは死ぬところだったのだ。
まだ16歳のエーラを本当に危険な目に合わせて
しまっていたのだと。
そして、弟グオンは、毒を塗った短刀で
本気で私を殺しに来ていたのだ、と。
でも、腑に落ちない。
毒を仕込むほどの準備をしておいて、
私の事も、エーラの事も簡単に取り逃がした。

