ゼンのその言葉に、



「私はフィアネよ」


と訂正しながら近づき、ゼンの隣に腰掛けた。




「…なんだよ?」


ゼンはこちらを見ずに、月を見上げながら


そう聞く。





「ゼンは、いつ女将さんに出会ったの?」



特に話したいことがあった訳では


無かったけれど、自然にその質問が浮かんで


きて、そう聞いてみる。





「そんな事、聞いてどうする?」


「どうもしないけれど、気になったの。四聖獣と、人との恋ってどんな感じかなって」



そう笑っていうと、ゼンは



「なんだ、あの黒髪のガキのことでも好きなのか?」


と言う。



「ううん」


「即答かよ」


「もちろん、エーラは好きよ?でも、私恋なんてしたことないもの」



と苦笑いしながら返した。




「話してくれる?女将さんとのお話」


私がそう聞くと、ゼンは少し黙った後



「…しょうがねぇな」



と言った。