「ん…」



私がうっすら止めを開けると、そこは宿の部屋



の中で…



そっと起き上がると、あたりはもう暗くなって


いた。




…さっきまで、朝だったのに…


そう思いながら、暗い部屋に目を凝らす。



すると、手ぬぐいをベッドのようにして眠る


クオンに、私を挟むようにして川の字に


眠っているシオン様とエーラの姿が見えた。




…まだ、みんなぐっすりと眠ってるみたい…


よっぽど疲れてたんだな…



そう思いながら、私はなんとなく、部屋から


出て、広間に向かった。





広間にある開け放たれていた小さな窓からは


欠けた月が見えた。



そして、広間にある椅子に、誰かが腰掛けて


いるのも見えた。





「…ゼン?」



そう声をかけると、白髪の青年が視線だけ


こちらに向けた。




「あぁ、ちびイーリアか」