「…ばかリズリ」
ゼンはそうつぶやくように言うと、部屋の
外へと出て行ってしまった。
「お…女将…」
シオン様はどうしたらいいかわからないように
そういった。
「あんた方、ゼンを…白虎様をどうか連れていって下さい。あれでも、麒麟様や朱雀様に会えて喜んでいるんですぞ。」
女将さんはそう可笑しそうに言った。
「…??」
今までのゼンの言動からは、全くそうは思え
なかったのだけれど…
「女将、ゼンは出ていってしまったけど、放っておいていいのか?」
シオン様が困ったように聞くと、
「そのうち、しょうがないから行ってやるーとか言い出しますぞ。」
と女将さんは笑いながら答えた。
女将さんの言葉に、
「言いそう」
と、苦笑いしながらエーラが呟いた。