「とりあえず…戦わずにこれを手に入れることが出来たな」
と、シオン様が笑顔でこちらを見て、
水晶の石をこちらに見せた。
「…いつまで抱き合ってるんだ二人とも」
というシオン様の言葉で、
私もエーラも抱き合っていることに気付き、
同時にばっと離れた。
「ご…ごめん」
とエーラが言う。
「ううん、助けてくれてありがと」
私がそう返すと、エーラは少しだけ笑った。
「それより…やりましたね、シオン様」
そうシオン様の方を向いて言うと
シオン様は頷いた。
「けど…あの4人が女将が言っていた賊のなんでしょうか?女将は5人って言ってましたけど」
そうエーラが言うと、
「多分そうだと思う。私が飛び蹴りした相手は、すごく綺麗に受身をとっていた。ほとんどダメージは無かったと思う。それに、全員気配を消すのが上手かった。只者じゃないと思う。」
と、シオン様が返す。
「…あのぺトラスとかいう人、シオン様が麒麟だと、すぐに気づきましたね…」
ただの賊が、麒麟の神話を知っているとは
思えない。
ましてや、神話ではなく現実に麒麟はいると
思っているだなんて。
「そうだな…私は否定も肯定もしていないのに、麒麟だと決めつけて話していた。」
「…なんだか、嫌な予感しかしないです。あの人は。」