「あれ?おかしいな。もう夜なのに、小鳥が悪さしようとしてる」


耳元からしたその声に私は驚いて飛び退いた。



な…なんで…


さっきまで確かに誰もいなかったのに!



私の耳元でそう言ったのは、黒い髪が肩まで


あるかないかぐらいの長さの少年だった。


歳は、私よりも若く見えた。






「ダメじゃん小鳥さん。僕ら今忙しいんだよ?変なイタズラで邪魔しないでよね」


といいながら笑う少年は、その容姿に合って


可愛らしい笑顔なのに、私は不気味に感じて


しまった。




…この子が、女将さんが言っていた賊の一味?


今、この子は僕達と言った。


ということは、やっぱり仲間がいるという事だ



それにさっき、私のすぐそばにその少年が


来た時、私は全く気が付かなかった。


この子は間違えなくただ者じゃない。



私は久しぶりに、人を怖いと思った。