エーラが驚いてそちらを振り返ると、
「お前の蹴り、強烈だったぞー」
と、にこにこした山賊たちがエーラを手招き
していた。
けれど、エーラがそちらに行くそぶりを全く
見せないと、一人がこちらに歩いてきて、
エーラの肩に自分の腕を乗せると
「そんな恥ずかしがらずに話そうぜー」
と言いながらエーラを引っ張っていった。
「俺はいいですって…」
「まぁまぁそう言うな」
「見かけに似合わず物静かなガキんちょだな」
「可愛い顔してるのになぁ」
明らかに嫌そうな顔をするエーラを全く気に
せずに、笑顔で話しかける山賊の人達に、
私は思わず笑ってしまった。
エーラはふっとこちらを振り返って、私の笑顔
を見ると、エーラも少しだけ笑った気がした。
その直後、山賊に首に腕を回されてエーラの
顔が見えなくなる。
少しの間、エーラに腕を回している山賊が
こそこそとエーラに何かを言うと、
エーラは真っ赤な顔をしてその山賊を
突き飛ばしていた。
…どんな話してるんだろう…
楽しそうだなぁ
なんて思いながら、近くの岩に座ると、
ピィーと言いながらクオンが寄ってきた。
「お疲れ様、クオン」
と、笑ってクオンの頭を撫でると、クオンは
嬉しそうにピィーっと鳴いた。