シオン様のその言葉に、私は
「あの、一つ提案があるんですが」
と切り出した。
「暗くなってからの方が、賊たちに見つからず、祠から水晶の石を取ってこられるんじゃないでしょうか?」
「しかしそれじゃあ崖を登れないだろう?危険すぎる。」
と、シオン様が反対する。
「それなんですけど、私がエーラとシオン様を崖の上まで運びます。それでもダメですか?」
私がそう提案すると、エーラが驚いたように
「そんなことが出来るのか?」
と聞いてくる。
「うん、羽ばたく分には大丈夫…なのだけど、私、二人を抱えられるほどの腕力はないの。だから、私も支えるけれど、二人もちゃんと捕まっていてくれないと、運べないと思う…」
私の説明に、シオン様が近づいてきて
「つまり、こうすればいいってことか?」
と言いながら、私に抱きついた。
それをみたクオンが、私の足元で
怒ったようにピィー!と鳴いた。

