兵が下がってからしばらくすると、
グオンの部屋の扉を叩く音が響いた。
「グオン様、フェルナンです」
「入れ」
グオンがそう言うと、扉が開いて
白髪で紫色の目をした、若い男が入ってくる。
「グオン、お呼びと聞きましたが、何の御用でしょうか」
「あぁ、リジュンはダメだと命令をしても追っ手の兵を出すと思ってな。」
「あぁ…そうですね、あいつはシオン様を殺したがってますから」
そのフェルナンの言い草に、グオンはため息をつく。
「…リジュンはフェルナンの上官だろう」
「いいんですよ、私はあんなヤツよりグオン様に仕えたいんです」
フェルナンはそう言い放つと、
「それで、軍を出すだろうから、なんですか?」
と、グオンに聞く。
「あぁ、恐らく、お前が隊長で軍を組むだろう。だから…」
「シオン様を殺すな、と?」
「…まぁ、それもあるんだが、伝言を頼む」
「…伝言?」
「あぁ、旅の助言だ。」
グオンは、その言葉をフェルナンに伝えると
「頼んだぞ。」
と、フェルナンに言う。
「はーい。やっぱり甘いですね、グオン様?」
フェルナンはニコニコしながら言う。
「うるさいぞ、フェルナン」
「まぁ、グオン様のそういう所も僕は好きですよ」
フェルナンはそういうと、
「じゃ、ちょっと行ってきますね」
と、部屋から出ていった。

