"ーーーーーー卒業、か"
今日は大学の卒業式。
まだ3月末までは学生だけど、大きな区切り。
"ーーー愛、これ余ったから良かったら使って"
隣でへアセットをしてもらっている結から、髪飾りに使う生花をもらった。
"え、いいの?
ありがとー。
これ、使ってもらえますか?"
"はい"
大学で着付けとヘアセットをしてもらい、今準備中。
その分朝早いけど、国家試験ぶりに会う友達と話せるのは楽しい。
ーーー合否が分からないから、国家試験のことは誰も触れないけどね。
着替えとかの荷物は研究室に預けて、体育館へ向かう。
途中会った友達と写真を撮る。
今日限りの振り袖に、心が踊る。
"愛"
"響、おはよ"
ちょうど体育館の入口で、響に会えた。
"似合ってる"
"ありがと、写真撮ろう"
相変わらずカッコいいスーツ姿にときめきつつ、顔を寄せた。
"愛、卒業式終わったら予定は?"
"このまま研究室の後輩たちと、お昼食べて終わりかな。
多分帰るまではずっと研究室。
響は?"
"サークルに顔出して、研究室。
一緒に帰ろ"
"うん"
ーーー些細なケンカはしたけど、ヨーロッパ旅行を堪能した私たち。
今まで以上に絆は深まった気がする。