「……わかり、ました。すぐに用意いたします」 できることなら捨てないでと、カーティス様にすがりつきたい。 だけど所詮、私は数いるカーティス様の召使いのひとりにすぎない。 ……ああ、目頭が熱い。 胸は引き裂かれそうに痛むわ。 だけどカーティス様の前では泣けない。 そんなことをすれば、私の気持ちが知られてしまう。 これ以上、自分が惨めになるのはいやだもの。 私は込み上げてくる涙を堪え、大きく頷(うなず)いた。