結婚式を挙げてから1週間後、私たちはおばあさんが住んでいた家に引っ越してきた。

「よし、終わった」

荷ほどきが終わると、私は杉下くんの隣に腰を下ろした。

仏壇の前で両手をあわせると、
「おじいさん、おばあさん、芽衣子です。

今日から和泉さんと一緒にこの家に住みます。

よろしくお願いします」
と、遺影に声をかけた。

「それから、私のお腹の中に新しい命ができました。

この子が産まれるのはまだ先ですが、よろしくお願いします」

そう、私のお腹の中には赤ちゃんがいる。

数日前に病院に検診へ行った時、医者から告げられたのだ。

「芽衣子」

杉下くんは私の名前を呼ぶと、私を抱きしめた。

そして、私の耳元でこう言った。

「俺は今、すごく幸せだよ」

☆★END☆★