明日の新幹線で、私と杉下くんは名古屋を離れる。

お父さんが入院している病院を探すと言う目的があったけれど、それでも楽しかった。

明日がこなければいいのにと、本当に心の底から思った。

「名古屋と言えば、何があるのかな?」

そう言った私に、
「定番だけど、やっぱりういろうとかじゃないか?」

杉下くんが答えた。

「本当に定番だね」

そう言い返した私に、
「じゃあ、名古屋駅辺りで何か探してくるか?

ういろう以外ものが見つかるかも知れないぞ」

杉下くんが言った。

「杉下くんもおみやげ探すの手伝ってね」

「わかった」

それでも時間は動いていて、明日がくることは嫌でもわかっている。

だけど、今だけでいいから杉下くんのそばにいたいと心の底から願った。