その名の通り、中毒性がある。
 一粒食べてやめるというのが難しくて、ぱくぱく食べてしまうし、数日空くとまた食べたくなって買ってしまうというリピーターの声が多い。

 愛されるベストセラー商品なのだ。

 アディグミの大ヒットにより、スウィンプトは大企業になったと言って過言ではない。

 発売当初は果実味だけだったが、現在はチョコミント味やローズティー味、塩ミルク味など、味の種類も豊富だ。
 新商品を開発しているのが、商品開発部。ゆうひ工場長が責任者を務めていた部署だ。

 自社の、しかも自分が主に携わってきた商品だもんな。
 思い入れは、きっとどの社員よりも強いんだろう。

 社員なら常備していて、隙さえあれば食べているのが当たり前のアディグミを、私は食べない。

 見るたび苦い気持ちになる。



 あさひ部長と初めて出会ったのは、五年前だ。

 スウィンプトに入社して一年目、私は内緒でアルバイトをしていた。
 本業に響かない程度、日曜日だけの単発バイトだ。

 パーティー会場で給仕係をする仕事で、服装は自前の白いブラウスに、黒いベストスーツの制服。
 髪は黒くなくては駄目で、長ければ一つで括ることや、アクセサリーを着けてはいけないなど、服装の縛りが多い。

 その日も規定どおりの目立たない格好をして、立食パーティーの給仕をしていた。