と、その時だった。
「旭っ!」
図書室の裏側 ─── ドアの方から、東城くんの名前を呼ぶ女の子の声が聞こえて。
東城くんとほぼ同時にそちらを振り返ると、大人っぽい女の子が立っていた。
黒く艶やかな髪は綺麗な曲線を描いてそよぎ、大きな猫目と真っ赤な唇が目を引く
つまりすんごい美人な女の子。
だけど、なぜか怒ったような顔で、走ってきたのか肩を上下に動かしている。
「あっ、美香ちゃん」
美香ちゃんと呼ばれた女の子とは対照的に、のんびりした返事をする東城くん。
「美香ちゃん、じゃないわよ!
先週からデートしようって約束してたくせに、ドタキャンってどういうこと!?」
女の子の剣幕と、叫ぶような彼女の言葉で、二人のやりとりをただ見ていた私は、なんとなく察した。
あわわわ…!
これ、もしかしなくても修羅場ってやつなんじゃ…!


