「美桜香ちゃんがある日、何も言わずにイギリスに留学しちゃったんだよね。
綾世には、なんの相談もなかった。
残されてたのは、美桜香ちゃんからの一方的な〝離れるから別れましょう〟っていう置き手紙だけ。
その後の連絡も一切なかった」
「そんな……」
不意に、前に綾世が私に放った言葉を思い出す。
『俺、誰とも付き合う気ないから』
『恋なんて戯言だよ、どうせ最後には別れるんだから。
そんなの時間の無駄』
……好きな人が突然いなくなっちゃったら、どうだろう。
綾世はきっと、すごく悲しかったよね、寂しかったよね……。
「その出来事があって、綾世の恋愛に対する嫌悪感が増しちゃってたんだよね」
「そう、だったんだ…」
何か言おうと思うのに、言葉が見つからない。


