「美桜香ちゃん……?」
そう声を掛けようとした私に被せるように、綾世が口を開いた。
「で、なんで来たの、美桜香。
用がないから、さっさと帰ってくれない?」
「綾、世…?」
綾世の声は冷たくて、チクチクの棘がいっぱい含まれてた。
綾世と美桜香ちゃんの間には、何かがあった。
そのことがはっきりと分かっちゃって。
それなのに私は何も知らない、そのことがなんだか胸の奥でしこりのように引っかかる。
だけど、美桜香ちゃんはまるで最初からそんな反応をされることを知っていたみたいに、目を細めて微笑んだ。
「そうね、今日はお邪魔するわ。
でも綾くん、私は綾くんに会いにイギリスから一時帰国したのよ。
それだけは覚えておいてね」
綾世は何も答えない。


