いや、名前知ってるよ?




ちゃあんと、漢字まで。




一応クラスメイトだもん!




……って!!!!


違うっ! そこじゃないっ!!




「へ……越してきた……?」




私の住むマンションの隣の部屋に……?




ぽかんとした私のことなんて華麗にスルーして、三崎綾世は


「じゃ、それだけだから」


なんて言いながらドアを閉めようとする。




でも、実際はドアは閉まらなかった。




なぜなら、もう一度三崎綾世がドアをほんの少しだけ開けたから。




「いい年して、まだそんなうさぎのパジャマ着てんの?」




ふっと嘲笑いながらそう言い残し、今度こそ本当に閉められたドア。