すると、綾世は口を開いた。




その瞳は真っ直ぐで。




「なんとも思ってねーやつを彼女にするほど俺はバカじゃないよ。

双葉はさー、俺の気持ち考えたことある?」




綾世の気持ち……?




「…んー、あんまない」




「おい」




だ、だってさ!


綾世の気持ち分かりづらいじゃん!




人類の中でもトップクラスくらいに、分かりづらいと思うよ!?




「綾世の気持ちって、なに?」




首を傾げた瞬間だった。




ふわっと甘い香りが鼻についたかと思うと、気づけば綾世の腕の中にいて。




「っ……」




それは一瞬の出来事。




私……今、綾世に抱きしめられてる…っ?




「分かれよバカ」




甘い声が耳をくすぐり、心臓はもう爆発寸前で。