「ぐすっ、ぐす…っ」




私は泣きながら、自分の教室に駆け込んだ。




綾世……。




自分の気持ち、真っ黒けのグシャグシャだよ…。




もうこうなったら、早く帰ってお菓子のヤケ食いしてやるーっ!




と、制服の袖でゴシゴシと涙を拭っていた、その時だった。




突然、背後で教室のドアを閉める音がして。




「…双葉ちゃん」




そんな声が聞こえたかと思うと、私の腕は後ろから引かれ、

次の瞬間にはもう、反応する間も無く、声の主の胸の中に収まっていた。




顔を上げなくても、声を上げなくても分かる。




今、私を抱きしめているのは ───




「東城、くん…」




私の手から、するりとスクールバックが床に落ちた。




東城くんが私の肩に顔を埋める。




そして、彼は私の耳元で言葉を紡いだ。




「双葉ちゃん、泣かないで。

俺は、双葉ちゃんが好きなんだ」






─── 恋ってなんでこんなに難しいんだろう






**゚ ゜゚***゚ ゜゚***゚ ゜゚***゚ ゜゚**