東城くんは目を括弧の上みたいに曲げて、微笑んだ。
「可愛いことばっかりされると、俺だって理性利かなくなるよ」
ほえ…?
リセイってなんだ…?
それっておいしいもの?
頭の中をクエスチョンマークが飛び交う。
「あ、あと、さっきの表情、三崎くんに見せちゃだめだからね」
「へっ? 綾世?」
なんで今綾世が出てきたんだ!?
さらにちんぷんかんぷんって表情を浮かべる私の頭を、東城くんがぽんぽんと撫でた。
「いーよ、無理に考えなくても。
ま、俺本気で頑張るから見ててよ」
さっきから東城くんの言葉の意味を解読できないけど、まぁいっか!
頑張る東城くんのことは、心から応援するし!
「うんっ、頑張れっ!」
東城くんに笑顔で返事をした私。
─── この時は気づかなかったんだ。
私と東城くんのやりとりを、図書室の扉の陰で綾世が聞いていたことに。


