とその時、
《ペンギン達が移動しますよ!
皆さーん、着いてきてください!》
耳に飛び込んできた飼育員さんの声に目の前の綾世の姿は消え、頰の横で手を組み唇を突き出していた私は、瞬時にして現実に戻された。
あーもうっ!
いいとこだったのにーっ!
と、そんなことを考える間もなく、ドッと左方から押し寄せてくる人の波に、いつの間にか巻き込まれていて。
「きゃっ、きゃー!」
人の流れに逆らえず、大群に呑み込まれる私。
みんな、ペンギン散歩を追いかけてるんだわ!
ペンギンさん、人気ありすぎだーっ!
ってあれ? 綾世は?
「綾世? 綾世っ?」
隣にいたはずの綾世の姿が、私が人波に攫われたせいで、見当たらなくて。
も、もしかして、はぐれちゃった…っ!?
もうすぐでイルカのショーが始まっちゃうのに!
きっとそう遠くにはいないはずだから、早く見つけなきゃ!


