「玲音くんも、本当は迷惑なの?」

「迷惑じゃねぇよ!
俺の大切な従兄弟なんだから!」

「春陽は、どこ?ねぇ?お家に帰ろうよ!
玲音くん… 一緒に帰ろうよ!!」


吉岡さんが、困った顔をした



「もう、お家ないの?」



吉岡さんが驚いた 



「今日の昼、大畠さんらが来たらしいです」


複雑な事情があることくらい

察しがつくことだが


鈴木さんの様子が、春陽君とダブった


だんだんと青ざめる鈴木さんに気づいた

「吉岡さん!鈴木さんを横にした方がいいよ!」

唇が真紫になり、倒れたときみたいに

真っ白になる

ナースコールを押すと
すぐに医者と看護師が来てくれた


部屋の外に出された俺らは、無力だ


「湊さん、奏が動揺するから、まだ来ないで欲しいと言ったじゃないですか!!」

「どうしても、会いたかったんだ
会って、謝りたかった」

「覚えてないのに、何を謝るんだよ…」


この1ヶ月でわかったこと


鈴木さんが倒れたあの日


吉岡さんの双子の姉、梨音(立川さん)は

結婚した

会社の取引先の社長だった


吉岡さんは、鈴木さんが会社の為に結婚すると勘違いしたらしい


エロ社長こと 平井 湊

吉岡家の母親は、湊さんの妹だそうだ


因みに、吉岡家の両親ともに亡くなったのも、5年前

鈴木さんは、覚えていない

まだ、生きていると思っている


社長が謝りたかったこと


それは、春陽君に騙されて

ショックを受けている時の電話

湊さんが、「お前のような娘はいらない」

と言ったことだった



そして、吉岡さんが教えてくれた

「鈴音の本名…鈴木 奏子
湊さんと昔、つき合ってて、奏は2人の隠し子なんだ」


なんとなく、そうかなとか

思っていた


思っていたけど、鈴木さんの母親が

どうして娘を利用しようとするのか


理解出来なくて、悔しくなった


鈴木さんが倒れたと知らせを聞いてから

エロ社長が、あっ湊さんが


今回の大畠プロとの仕事を断った


そして、春陽君も少し休みたいって

大人しい

というよりは、別人レベルに落ち込んでる


お見舞いに1度も来ていない



きっと…



自分を責めているんだろうな