「優花、送るよ」


「だいじょうぶ、まだ21時前だし」


「こういう時は素直に甘える方がモテるぞ」


「モテなくていいけど、お願い」



駅までは、とりとめのない話をして。


でも電車が意外と混んでいて、森さんと必要以上に密着することになってしまった。


ふれている部分が、熱い。


「優花、顔赤いぞ」


「混んでるからかな、暑いもんね」


グッと、腰を引き寄せられた。


「無理すんな」



てっちゃんとは、違う匂い。


てっちゃんより、力強い腕。


てっちゃんより、少し背が低い。



なんで比べてるんだろう。


比べても、しょうがないのに。


でもなぜか、ドキドキして、胸が苦しかった。