「でも、私がお昼ごちそうするって約束、まだでしたよね?」


「覚えてたのか、じゃあラーメンおごってもらうからな」


「・・・はい」




明日香先輩たちもいないし、しょうがない。


会社を出て、近くの担々麺がおいしい中華屋さんへ向かう。


カウンターに並んで座り、担々麺を頼んで待つ間に、さっそく突っこんだ。




「函館へ行くなんて返事してませんけど?」


「でもどうせヒマなんだろ?


うちの親も楽しみにしてるし、いいじゃん」



「森さん、どうしてそんなに私に構うんですか?」


「優花さ、なんか無理してるから」


「無理なんてしてませんけど?」


「もっと肩の力抜いて、気楽にすればいいのにって思うよ」


「それと函館は関係ないと思いますけど」


「まあ、深く考えんなよ、優花に見せたいもんがあるからさ、楽しみにしとけよ」



森さんは、どういうつもりで私を誘ってるんだろう。


ひとりでさみしい同僚がかわいそうで?


彼女のフリしたから、手っ取り早く?



いくらお母さんに言われたからって、本当は彼女じゃない私なんかと一緒にいて、いいのかな。


元カノのこと、忘れてなさそうなのに。