お互いをなんとなく理解しはじめて。


優樹さんのご両親が、北海道からやってきた。



「はじめまして、坂本優花です」


「優樹の父です、いやいや、東京は人が多いな」


「優樹の母です、優花さん、優樹が迷惑かけてない?」



いま、まさに迷惑かけられてるとこです。


そんなことは言えるはずもなく。



「いえいえ、いつも優樹さんは優しくしてくれてます」



なごやかに挨拶がすんだところで、ご両親がどうしても行きたかったというスカイツリーへ向かった。




ほんとうに、いいご両親で。


北海道の話も楽しくて。


自宅でくつろぎながら、気づけば3時間もたっていた。


おみやげもたくさんいただいて。


「今度はぜひ北海道に来てね」


と、10回以上誘ってくれた。



ホテルに送って、肩の荷がおりたのは、午後7時。


明日は、東京で大好きな歌手のコンサートへ行くらしい。



でも、コンサートは後付けで。


ご両親は、優樹さんに会いたかっただけなんじゃないかと思った。


ついでに、彼女にも会っておこう、的な。


優樹さんへの愛情が深いんだと感じた。