キミに出会うまで

「優樹、どうしよう、どっちがいいと思う?」


「今さら何言ってんだよ、決めてたんじゃねーのかよ」


「やっぱりこっちがいいかと迷っちゃって」


「うーん、正直俺には違いがわかんねーけど」


「もういい、優樹に聞いた私がバカだった」


「なんだよそれ、じゃあ初めっから聞いたりすんなよ」


「迷ってるから聞いたんじゃない」


「・・・どっちも似合ってるよ」


「ほんと?」


「ほら、急がないと遅刻すんぞ」


「はい、ちょっと待ってて」


私は、薄紫のボレロを着ると、優樹のネクタイを直した。


「男の人はいいよね、スーツでいいんだから」


「俺も、男で良かったって思うよ」


「忘れ物ない?」


「オッケー」



ふたりでマンションを出て、駅に向かう。


今日は、大安の土曜日。


ひとみちゃんの結婚式。


会場に着くと、明日香先輩と和真さんが待っていてくれた。