キミに出会うまで

「ただいま」


誰も起きてないと思ったのに、お母さんがリビングから出てきた。


「おかえり、お腹すいてない?」


「ううん、すいてない」


「シャワー浴びる?」


「うん、浴びようかな」


自分の部屋に荷物を置いて、お風呂場へ向かった。


鏡にうつった自分の顔は、ひどく目が腫れあがっていて、誰が見ても大泣きした顔だった。


熱いシャワーを浴びて少しさっぱりしたけど、気持ちは晴れなかった。



お茶だけ飲もうとリビングへ向かったら、お母さんが待っていた。


「話したくないなら話さなくてもいいけど、昨日の夜に明日香ちゃんから連絡あったのよ。


優樹さんとケンカでもしたの?


優樹さん、すごく心配してるって、明日香ちゃん言ってたわよ。


何があったかしらないけど、ちゃんとふたりで話しなさい」


それだけ言うと、お母さんはお茶をコップに入れてくれた。


「ごめんなさい」


「謝るのは、私にじゃなくて優樹さんや明日香ちゃんにでしょう」


食欲でたら言いなさい、と半分怒った声でつぶやきながら、お母さんは部屋を出ていった。



優樹、明日香先輩に連絡したんだ。


スマホの電源を入れるのが、怖くなった。


濡れた髪をドライヤーで乾かして、ベッドに横になった。


夏休みで良かった。


会社も1週間、行かなくてすむ。


こんな状態じゃ、仕事どころじゃないし。



自分の部屋で落ち着いたのか、私は深い眠りに落ちた。