キミに出会うまで

ネットカフェの狭い部屋にいると、よけい落ちこんだ。


さっき見たことが、グルグル何度もループする。



優樹は、元カノのこと、まだ好きなの?


てっちゃんのことを忘れなくてもいいって、私には言ってたけど。


忘れられないのは、優樹だったんじゃないの?


本人に直接ぶつけられない疑問ばかり、浮かんでくる。



優樹が熱を出して、お見舞いに行った時のことも思い出した。


熱でつらそうにしながら、私を元カノと勘違いして、


『まゆみ』


『もう、どこにも行くなよ』


って、言ってた。



そういう優樹の言葉から、同棲していたマンションの中の細々とした物まで、元カノに関係するすべてから、目をそらしていたんだ。


心の奥底では、優樹は元カノがまだ好きなんじゃないかという不安な気持ちがあったのに。


今回のことで、その不安を閉じこめていたフタが、一気に破裂してしまったみたい。



これから、どうしよう。


ずっとここにいるわけにもいかないし。


旅行も行けるわけないし。



なんとなくテレビをつけたら、ふたりで楽しみにしていたドラマがやっていた。


オンタイムでは見ないで、わざわざ録画して、週末に優樹の部屋で一緒に観るのが習慣だった。


あんなに楽しみにしてたのに、内容がちっとも頭に入ってこない。


ドラマがおもしろかっただけじゃなくて。


ふたりで同じドラマを一緒に観るのが、楽しかったんだ。


でも、もう一緒にいられないんだね。


そこで初めて、涙が止まらなくなった。


嗚咽している私の声が聞こえたら、隣の人は映画でも観ていて泣いているって思うかな。


知らない人が壁の向こうにいて聞こえちゃうかもしれないのに、涙は止まらなくて。


涙が止まっても、疲れているはずなのに、眠れなくて。


結局一睡もできずに、朝を迎えた。


始発電車が動き出したのを確認して、重い体を引きずるように家へ向かった。