キミに出会うまで

席につくなり部長から、


「坂本さん、来月の会議で会わせたい人がいるんだ」


と、唐突に言われた。



「はい、社内のどなたかですか?」


「うん、今は横浜支店のシステム部にいるんだけど、6月から本社のシステム部に来ることになってね。」



こんな時期に異動なんて、珍しい。



「実は、来年度から発注書を含めていろいろと変える予定で、システム部では既に動いてるんだけども」



初耳です、部長。



「で、商品部の代表として、坂本さんに頑張ってもらおうと思っていてね」


「えっ、私ですか?」



私が驚くのも無理はない。


私は肩書きのない社員だし、小塚課長・佐々木主任・広田さん・明日香先輩をさしおいて私を選ぶ必要がないし。



「まあ、本来なら広田さんか土屋さんだろうけど、坂本さんは若いし、日頃からシステム部に『こうしてほしい』って要望を出してるだろ?」



要望といえば聞こえはいいけど、実際は文句に近い。



「な、頼むよ、引き受けてくれないかな。


会議の時に、システム担当の森さんと顔合わせセッティングするからね」