キミに出会うまで

小さな紙袋には、指輪が入っていて。


それを右手に持って、左手は私の右手を握って、優樹は黙って歩いてる。


「優樹」


「ん?」


「指輪、どうして?」


「家に着いてから、ゆっくり話すよ」


夕飯の買い物をしてから、優樹のうちに戻った。


買ってきた物を冷蔵庫にしまったり、手を洗ったり。


コーヒーをいれて、ソファーに座る。



「さてと」


優樹は、私の顔をのぞきこんで、話し出した。


「俺の異動が決まってから、優花ずっと我慢してただろ。


平日もほとんど家に来なかったし。


俺が異動した後のこと考えて、無理して来ないようにしてたんだろうな、と思って」


「だって・・・さみしいのにも慣れないといけないと思ったから」


「そんなこと考えんなよ」


ギュッと抱きしめてくれた。


おでことおでこをくっつけて、顔がものすごく近くて。


「俺は、優花が好きだ」


「私も、優樹が好きだよ」


ふたりの気持ちを、何度でも言葉にして確認して。


「でもね、優樹は異動の準備とか淡々としてて、私ばっかり気持ちが重くなってる気がして、さみしいのは私だけなんだって思ってた」


チュッ、とふれるだけのキスをして、


「俺だってさみしいよ」


優樹が、私の髪をなでた。


「だから、この指輪を買ったんだ。


離れても、変わらないしるし。


左手のは、二人で買いに行くからな」


「・・・それって、もしかして、そういうこと?」


「そういうこと。


だから、これは婚約指輪だな。


あとは、男よけってこともあるし」