「優花」
「なに?」
見上げた顔は、なぜか思いつめたような表情だった。
「俺、6月22日付で、横浜支店へ戻ることになった」
「・・・そっか、そうだよね、もともと期間限定だったんだもんね」
覚悟はどこかでしていたけど、会社で会えなくなると思うと、やっぱりさみしかった。
「そんな顔すんなよ」
うつむく私の顔をのぞきこんで、大きな両手で顔をはさまれた。
「俺は引っ越すわけじゃないし、いつでも来てくれていいから」
そっと重なる唇。
「確かに、ほぼ毎日会ってたのが会えなくなるのはさみしいけど、俺の気持ちは変わらないから。
浮気される辛さは充分わかってるし、優花にそんな思いは、絶対にさせない」
「私もさみしいけど、私も絶対に優樹を裏切らない」
「内示を聞いて、一番に優花へ知らせたかったけど、ただ伝えるよりは、こうやって楽しい思い出と一緒の方がいいかと思って」
「ありがとう」
「でもなー、優花に男が寄ってきそうだしな」
「そんなことないけど」
「本社のシステム部に、優花の同期いるじゃん」
「ああ、五十嵐くん」
「アイツさ、優花のこと『ちょっと抜けてるけど、仕事は真面目にやるし飲みこみ早いし、小動物系でタイプなんだよな』って言ってたから」
「なにそれ、中途半端な褒め言葉」
「俺が彼氏なんだって言いたかったけど、言えないし。
俺が横浜行ったら、気をつけろよ」
「私は、優樹のことしか考えてないから、大丈夫だよ。
そういえば、経理の高野さんが『森さんっていつも丁寧に教えてくれて優しいし、カッコいいよね』って飲み会で言ってた」
「ああ、何度かパソコンのこと教えたかも」
「優樹は、私には厳しく教えるのに、高野さんには優しいんだ、ってちょっとヘコんだもん」
「他人だから優しくするんだろ、優花は特別だから仕事面ではキッチリ細かいことも教えたいんだよ」
「ふーん、横浜行ったら、私の監視がなくなって羽伸ばしてたりして」
「なに?」
見上げた顔は、なぜか思いつめたような表情だった。
「俺、6月22日付で、横浜支店へ戻ることになった」
「・・・そっか、そうだよね、もともと期間限定だったんだもんね」
覚悟はどこかでしていたけど、会社で会えなくなると思うと、やっぱりさみしかった。
「そんな顔すんなよ」
うつむく私の顔をのぞきこんで、大きな両手で顔をはさまれた。
「俺は引っ越すわけじゃないし、いつでも来てくれていいから」
そっと重なる唇。
「確かに、ほぼ毎日会ってたのが会えなくなるのはさみしいけど、俺の気持ちは変わらないから。
浮気される辛さは充分わかってるし、優花にそんな思いは、絶対にさせない」
「私もさみしいけど、私も絶対に優樹を裏切らない」
「内示を聞いて、一番に優花へ知らせたかったけど、ただ伝えるよりは、こうやって楽しい思い出と一緒の方がいいかと思って」
「ありがとう」
「でもなー、優花に男が寄ってきそうだしな」
「そんなことないけど」
「本社のシステム部に、優花の同期いるじゃん」
「ああ、五十嵐くん」
「アイツさ、優花のこと『ちょっと抜けてるけど、仕事は真面目にやるし飲みこみ早いし、小動物系でタイプなんだよな』って言ってたから」
「なにそれ、中途半端な褒め言葉」
「俺が彼氏なんだって言いたかったけど、言えないし。
俺が横浜行ったら、気をつけろよ」
「私は、優樹のことしか考えてないから、大丈夫だよ。
そういえば、経理の高野さんが『森さんっていつも丁寧に教えてくれて優しいし、カッコいいよね』って飲み会で言ってた」
「ああ、何度かパソコンのこと教えたかも」
「優樹は、私には厳しく教えるのに、高野さんには優しいんだ、ってちょっとヘコんだもん」
「他人だから優しくするんだろ、優花は特別だから仕事面ではキッチリ細かいことも教えたいんだよ」
「ふーん、横浜行ったら、私の監視がなくなって羽伸ばしてたりして」


