みんなが忘年会へ向かったのが17時30分。


いま、20時過ぎたとこ。


森さんの手伝いをして、なんとか引き伸ばしたけど。


これ以上は無理そうだから、ホテルの部屋で時間を潰すことに決めて、


「お疲れさまです、お先に失礼します」


会社を出た。


森さんは、


「お疲れ」


と言って、また仕事に戻った。



ホテルの部屋は、殺風景だったけど。


ロビーの大きなクリスマスツリーは華やかで、部屋の窓から見える夜景は、キラキラまぶしかった。



テレビをみてぼんやりしていたら、ドアをノックする音がして。


そっとドアを開けると、てっちゃんが部屋に入ってきた。



「優花、お待たせ」


てっちゃんが伸ばしてきた手をかわして、


「これ、カードキー。


返しに来ただけだから。


もう、私に構わないでよ」


一歩下がった私に、てっちゃんは言った。


「この前の返事、聞かせてよ」


「もう終わりにしようって言ったよね?」


「俺たち、体の相性いいと思わない?


お互い好きなんだから、離れることないじゃん。


たまにしか会えないけど、それがまたいいんだよな。


アイツとは一緒に暮らしてるから、もう同居人っていうか、飽きたからさ」


「そんなひどいこと考えてる人とは、もう無理」


「世の中の結婚してる男なんて、みんなそう思ってるよ。


だからみんな浮気するんだろ。


優花も結婚すればわかるって」