クールな女上司の秘密

 しまった……

 俺と真奈美の会話は、みんなにしっかり聞こえていたらしい。静まり返ってたから。


「真奈美、どういう事? あんたと佐伯君って、えーっ!? そういう事? なんで黙ってたのよ?」


 田中さん。それはあなたの口が軽いからですよ?


「佐伯ちゃん、やるうー!」

「佐伯、おまえ、いつの間に……ちっくしょー!」


 佐藤さんと高橋さんだ。俺は仕方なく立ち上がった。


「不手際がありましてすみません」

「むしろ手際よすぎじゃない?」


ゲラゲラゲラ

 うー、やりにくい……


「えっと、みなさんに黙っていて申し訳ないんですが、俺とまな……チーフは……」

「真奈美でいいぞ!」

「えー、俺と真奈美は付き合っています」


ヒューヒュー


「それで、来年の春に結婚の予定です」


 たちまち「おー」とか「おめでとう!」とかの歓声が上がり、それが落ち着いてから俺は話を続けた。


「結婚後も真奈美は仕事を続けますので、今まで通りお願いします。ハネムーンでは長めの休暇をいただきますけど」


 みんなの拍手の中、これで終わりと思い、ホッとしながら座ろうとしたのだが……


「待って。事情が変わったの」