「私が間違っていた。すまない。この通りだ」
なんと美樹本さんは、佐藤さんに向かって深々と頭を下げた。みんなは呆気に取られ、当の佐藤さんは「あ、え、そんな、え?」とか、要するにあたふたしていた。
「私は君を見くびっていた。サバサバして、ドライな女性だと思っていた。君が本当は優しくて繊細な女性だという事を、私はある人から言われるまで気付かなかった。本当にすまない」
あ。ある人って、たぶん真奈美だ……
「私が言うのはおこがましいが、頑張って、幸せになってほしい」
「は、はい」
「みなさんにも申し訳ない」
美樹本さんは再び頭を下げた。
「私は今日、役員に降格を願い出ました。一から出直す覚悟です。私事で恐縮ですが、浮気はやめ、これからは妻をもっと大事にするつもりです」
おー、というどよめきが起きた。
「それと、ほんのお詫びの印に、今夜の費用は全て私が出します」
おー、と、更に大きなどよめきが起きた。
「佐伯君。悪いが私は先に失礼する。会計は済ませておくから」
美樹本さんはコートを持ち、俺のところへ来て言った。
「なんか、すみません」
「いいんだ。それと……」
不意に美樹本さんは腰を屈め、俺の耳のあたりに顔を近づけた。
「齋藤君と幸せにな。俺の二の舞にはなるなよ?」
「あ、はい」
美樹本さんは颯爽と帰っていった。やっぱりあの人、カッコいいよなあ、と思ってしまった。
なんと美樹本さんは、佐藤さんに向かって深々と頭を下げた。みんなは呆気に取られ、当の佐藤さんは「あ、え、そんな、え?」とか、要するにあたふたしていた。
「私は君を見くびっていた。サバサバして、ドライな女性だと思っていた。君が本当は優しくて繊細な女性だという事を、私はある人から言われるまで気付かなかった。本当にすまない」
あ。ある人って、たぶん真奈美だ……
「私が言うのはおこがましいが、頑張って、幸せになってほしい」
「は、はい」
「みなさんにも申し訳ない」
美樹本さんは再び頭を下げた。
「私は今日、役員に降格を願い出ました。一から出直す覚悟です。私事で恐縮ですが、浮気はやめ、これからは妻をもっと大事にするつもりです」
おー、というどよめきが起きた。
「それと、ほんのお詫びの印に、今夜の費用は全て私が出します」
おー、と、更に大きなどよめきが起きた。
「佐伯君。悪いが私は先に失礼する。会計は済ませておくから」
美樹本さんはコートを持ち、俺のところへ来て言った。
「なんか、すみません」
「いいんだ。それと……」
不意に美樹本さんは腰を屈め、俺の耳のあたりに顔を近づけた。
「齋藤君と幸せにな。俺の二の舞にはなるなよ?」
「あ、はい」
美樹本さんは颯爽と帰っていった。やっぱりあの人、カッコいいよなあ、と思ってしまった。



