「ちょっと……汚いなあ」

「すみません。でも、真奈美さんがいきなり冗談を言うから……」


 下を向き、ティッシュで床に飛び散ったコーラの汚れを拭いていたら、


「私、本気で言ったんだけどな」


 と、呟くようにチーフは言い、思わず俺は彼女を見上げた。


「この間は言ってたじゃない。私を食べたいって。それとも、もう魅力ない? 私なんかには」

「そんなわけないじゃないですか。今日は真奈美さんの具合が良くないから、我慢してるだけです」

「だったら、我慢しなくていいわよ。もう大丈夫だから」

「本当に?」

「うん。ピザをいっぱい食べたから、すごい元気」


 そう言ってチーフは、笑いながら腕を直角に曲げ、力こぶを作る仕草をした。実際のところ、か細い彼女の腕に、そんなものが出来るとは思えないが。

 そんな茶目っ気たっぷりな可愛いチーフを見たら、もう我慢など出来るわけもなく……


「きゃっ」


 俺はチーフに飛びついた。そして彼女を床に押し倒し、のしかかっていったのだが……


「待って。その前に、シャワーを浴びて?」

「あ、そうですよね。うっかりしました」


 俺は渋々チーフから離れた。本当はうっかりしたんじゃない。シャワーを浴びるべきなのはわかっていたが、それがもどかしくなるほど、したかったんだ。チーフと、あれやこれやを……