蕪木城では。



新たにひよりが虔属の一員となり、数日が過ぎた。



あの事件と、引き裂かれるような別れの後に落ち込んでいたひよりだったが、
徐々に元気を取り戻していた。


香織や沙織とも話をするようになり、
食事も食べるようになった。


まだ、家では床に座って食べていた虐待の爪痕も残してはいたものの、
徐々に皆と一緒のテーブルでご飯を食べる事にも慣れてきた。


友達が居なかったひよりに、初めて同年代の沙織と言う友達が出来た事も、
ひよりに活力を与えていた。



それを見ていた鉄観音も、安心して見守っていた。


更に一月ほど過ぎたある日、
鉄観音はイブに相談を持ち掛ける。


間も無く、蕪木森にも夏が来るそんな時だった。