「お姉ちゃん!やったよ〜!一等賞だよ〜」
沙織は姉に駆け寄る。
「うん!沙織凄いね!よく頑張ったね!」
沙織を抱き締めながら、香織は微笑む。
「沙織ちゃん!メッチャ速かったね。カッコイイ!」
ひよりも二人と一緒に喜んだ。
まるで実の姉妹のような3人の華やかさは、赤組の中でも際立っていた。
「いりえちゃん!俺、動画撮影しておけば良かったよ!」
そんな3人の様子を見ていた鉄観音は、いりえに言った。
「やっぱし、思い出って大事じゃん!家族だし!ああ、カメラ欲しい!」
すると、いりえはぶっきらぼうに言い出した。
「あのな、鉄。カメラの心配はしなくたって平気だぞ・・・」
「え?どう言う事?」
「動画録ってるから」
「えっ!?ええ〜マジで」
「かなり、腕の良いカメラマンが運動会専門で撮ってるから」
「それ初耳なんだけど!どこら辺に居るの?」
「いたる所にだよ。
なにせ、貴重な研究対象だからな、あの3人」
「け、研究対象って・・・」
「まあ、表向きは学校行事の思い出って事で、でーぶいでーで販売するんだけどな」
「で、でーぶいでーって・・・」
「何にせよ、吸血鬼が二種類も同時に学校へ来たんだ。そんな奇跡みてーな話は、今までに無い。
だから研究対象になるのも無理はねえな」
いりえは顔色一つ変えずに、鉄観音にそう言う。
「珍しいかも知れないけどさ、悪趣味だよ、それ」
「あのなぁ〜・・・。
まだ、自覚がたんねえみたいだから言うけど、
お前らは妖怪なんだよ。
つまりは、人ならざる者だ。
人にしてみたら、あんな走りや力を振るう奴を相手にしてみろ、一瞬でおじゃんだ」
鉄観音を見据えて、ひよりは言った。
「だから、おめえらに対する研究は必要なんだよ」
「まあ・・・そりゃそうだけど・・・実験されてるみたいで、やだな、そう言うの・・・」
小さな声だが、鉄観音はそう言った。
フィールドで笑い合う彼女達を見ながら、
鉄観音は複雑な気持ちで居た。
「見た目はあんなに可愛い女の子なんだけどな・・・」
じわりじわりと、吸血鬼と言うものを自覚させられていく、
鉄観音だった。