−我が名は蕪木鉄観音。東洋を支配する妖怪の王である。
王の権限と威光により、不純なる死を賜った魂をもう一度その肉体に呼び戻し、
我が虔属となり、
不老不死の肉体として蘇り、
王の下僕としてその王が手放すまで、
永劫に生き続ける屍になり忠誠を誓うのだ!!−


儀式とは元々事象認識させ、確認させるものである。


儀式そのものに意味はなくとも、そこで現状を確認すると言う意味では、太古から有効な手段であり、用いられてきた慣習である。



鉄観音が目を光らせながら、二人の姉妹に現状を受け入れさせる手段として用いた。



姉妹は、首に突き刺さった歯形に触れながら、身体中を駆け巡る熱い感覚に身を捩り、甘い声を洩らす。


今まで生きてきた中で、感じた事の無い快感を、首の傷口に触れる事で感じていた。



鉄観音は、儀式で言った事の恥ずかしさの余り、床を転げ回った。


「うわあっ!恥ずかしい!恥ずかしい!バカじゃねぇの!俺、バカじゃねぇの!!あああ!死にたいよ〜っ!!死にたいよ〜っ!!」



すっと、二人は鉄観音に寄り添ってきた。


「王様。めっちゃ恥ずかしい事を言ってましたけど、貴方に忠誠を誓います」


「わたしも〜王様好き〜」


こうして吸血鬼として、初めて真面目に仕事をし、初めて作った虔属は美人姉妹と言う、最強の生物の物語が始まる。