走り去る田所さんの背中を見て、重く溜息をついた。

どうしてあんな無理して笑おうとするのか、私には想像できなかった。

泣き顔を見せたのが恥ずかしかったからかな…と、最初のうちはそう思った。

でも、段々違う様な気がしてしまった。


虚ろに彷徨う様な目をしていた。

真っ直ぐに注がれたこの間の眼差しとは、全く違う気がした。



(どうして…?)


思い当たるフシもなく考え込んだ。


「気のせいだ…」と言われても、やはり嫌われてる様にしか思えなかった……。