「菜々、行こう」


その声と引かれた右腕で私の思考が働き出した。


「ちょっと来て!」


引かれていた腕を逆に私が引っ張る。


誰もいない死角の場所まで連れてきた。


「…どういうつもり?」


「いや、あれは菜々を助けるためだって」


「にしても、あんな嘘つく必要はないよね?」


「…悪い。昨日花音さんに『付き合うのもあり』って言われて…それもありかな?って…」


「信じられない…」


大きくため息をつく。