女の子が指差すのは私の来た方向。


私もそっちを振り返ると、郁斗がチャームを連れてきていた。


「俺とチャームを置いて行くなよな〜」


「郁斗…」


郁斗は女の子に近寄って、私と同じようにしゃがみ込んだ。


「俺と、この犬も一緒に探してやるからな」


「ホント⁉︎ワンワンも一緒に探してくれるの?」


女の子が目を輝かせる。


「ああ、この犬はチャームって言うんだぞ〜」


「よろしくね、チャーム。私は楓って言うの」


チャームは普段人に懐かないのに、楓ちゃんとじゃれあっている。


かなり珍しい。


多分、チャームなりに楓ちゃんの状況を感じ取っているんじゃないかな?