広い公園をチャームが駆け回る。


チャームは賢いから、リードを外してもちゃんと戻ってくるの。


私と郁斗はベンチに座ってそれを眺める。


大きい公園だから子供がたくさんいて、みんなチャームを触ろうとするけどチャームはあっさりそれをかわす。


もともとチャームはあまり人懐っこくないからね。


そのやりとりを見ているのがおもしろい。


「菜々」


突然郁斗が話し始めた。


「何?」


「好きな人とかいるのか?」


「は?いるわけないでしょ」


郁斗の質問の意味がわからない。


「そっか」


私はいつも1人だよ?


恋なんて絶対ありえない。