「お嬢様、とてもお綺麗ですよ」


「本当に、よく似合っていらっしゃいます」


「そ、そう…?」


「「はい!」」


鏡の前に立って、自分の姿をまじまじと見つめる私。


それは私なようで私じゃない。


確かに目の前の人は私なんだけど、見違えるほど違いすぎて信じられない。


しっかりお化粧もして、綺麗なドレスも着て、ああ…いよいよ今日なんだな、って実感させられるみたい。


「ドレスって白…のイメージだったのだけれど、青で大丈夫なの?」


私が着ているのは淡いブルーのドレス。


絵本の中のお姫様が着ているような、華やかで綺麗なドレス。


私的には全然構わないんだけど…ウエディングドレスって白が基本なんじゃ…。


「結婚式展はまた別の日に予定がございます。本日はお披露目だけということですので」


は⁉︎


今日以外にもう1度式をするってこと⁉︎


いやいや、意味わかんないし。


「本日はテレビや雑誌、新聞の記者の方々もいらっしゃって、世間へお知らせという形ですので、頑張ってくださいね!」


「お嬢様の姿が世界へ発信されますので!」


「え、ええ…」


なんだか不安になってきた。


今日のためにいろいろレッスンしてきたとはいえ、上手くいくかはわからない。


逆に、この1回を失敗したら今までの全てが無駄だったってことになる。


うわっ、お腹痛くなってきたかも…。