「やっと帰ったか…」


確認のために窓から下を覗く。


「あ!やっぱり菜々いるじゃないか!」


「げ!」


私は郁斗の作戦にまんまとはまってしまった。


私をおびき出すために1度呼びかけるのをやめたみたい。


やっぱり頭がいい…。


「勉強教えてくれないか?」


「や、やだよ!私これから寝るんだから」


今まで寝てたけど…。


それだけ言って窓とカーテンを閉める。


すると、また声がしなくなった。


さすがに同じ作戦に2度も引っかかるようなバカじゃない。


私は窓を開けたいけど、我慢して勉強机に向かった。


「私も勉強しないとまずいよね…」